ASIC開発、なぜ難しい?

コンサルティング案件の中でよく聞かれる事に、「ASIC開発ってどうやれば上手くいくのか、探しても良書が見つからない!?」らしい。真偽はさておき、そんなときはいつも「それは私が本を書いてないから」と答えている。

エレクトロニクス業界最大手の研究開発部門に新入社員として配属された部署は、その年に出来たばかりの新設開発部隊だったためか、開発のイロハをろくに教わることなく自分で道を切り開かなければならなかった。その後、時代の変遷とともに開発ターゲットとなる最終商品は変わり続けたが、やってる開発自体は、ロジックIC⇒FPGA/PLD⇒大規模FPGA/GA⇒ASICと開発規模が小さくなることなど一度もなくムーアの法則に則って大規模複雑化の最先端を歩んできた。でもどんな忙しさの中であっても常に自分自身で新たな開発手法を革新しつづけてきた。

プライドなんて相当低い部類の人だと思ってるのに、なぜだか昔から人に教わる機会に恵まれなかったからこそ、自分で考える開発をここまでリードしてこれたわけだし、今思えば、そんなことが許されたのも、寛容な諸先輩方や多大なるご協力を頂けた数々ベンダーさんのおかげである。そんな私が日本の未来に役立つことがあるとすれば、これまでお付き合い頂いた皆さまから得た知見で御恩返しをすることなのかもしれない。